明法ニュース 教科指導

【社会(地歴)】世界史の学習を現代社会の問題解決につなげる

高等学校
教科指導

【社会(地歴)】世界史の学習を現代社会の問題解決につなげる(高2)

高校2年生の国公立難関私大コースの世界史Bでの「21世紀型」授業です。国公立難関私大コースの世界史Bは週3時間。大学受験に向けては、必要な範囲をかなりの進度で進めないといけないのですが、やはり「好きこそものの上手なれ」が社会科の王道。そこで、今年度は、年間数回ですが、生徒発表型の授業を展開することにしています。

今回はその2回目。生徒には、「現代社会が抱える問題を解決する方法として、既習範囲(古代ローマ世界・古代インド世界)の歴史的事象(指導者の政治的取り組みや制度など)を取り上げる」というテーマを出しました。生徒には、その観点でまとめたレポートを提出するとともに、その内容をさらにパワーポイントにまとめて、1人3分~5分程度でプレゼンテーションする、という課題を出しました。

生徒たちが選んだテーマは以下の通りです。

「フェアトレードと発展途上国」「ローマ共和政と北朝鮮」「『内乱の1世紀』から見る“産業の空洞化”」「古代ローマの『パンとサーカス』」「グローバルってあり?」「奴隷として酷使する人工知能」「ローマに学ぶ」「カースト制度」「グプタ朝」

指定したテーマ(観点)が難しく、生徒も作業に苦労したようですが、それぞれの視点で、現代社会の諸問題と授業で習った世界史の内容を絡めていました。例えば、「外国人労働者がどんどん拡大している日本での今後の対応の参考として、古代ローマの領土が拡大し支配民族が増えていく過程でとった政策が参考になるのではないか?」といったプレゼンテーションや、「ローマ帝国がおこなった『パンとサーカス』という統治政策を参考に、現在の東京都の政策についてよく考えないといけないのではないか?』というプレゼンテーションもありました。

まだまだプレゼンテーションに慣れていない生徒もいますが、自分なりに調べたことを、人前でしっかり話すスキルはこれからもっと大切になってくるので、生徒にも頑張らせています。
ただ、それ以上に、世界史という科目が、単なる受験科目・暗記科目ではなく、現代社会の問題を解決するうえで、そして自分がこれから人生を歩むうえで重要な示唆を与えてくれる教養科目なんだということに気づいてもらうことが、今回の課題の最も重要なポイントと考えています。

2学期中にもう一度同じテーマで「21世紀型」授業を行う予定です。生徒には既に予告をしているので、これからの授業では、その観点も頭に入れながら、授業に取り組んでくれることと期待しています。