明法ニュース 教科指導

今年も東邦大学とコラボして,遺伝子解析をおこないました

教科指導

SPP 015.JPG 7月18日(水)~19日(木)に,科学技術振興機構(JST)によるサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)の支援のもと,東邦大学理学部との高大連携講座を実施しました。

 地球上の生物は,遺伝物質としてDNAをもっています。DNAの遺伝情報は,A・T・G・Cの4種類の塩基という物質が積み重なって並ぶことで保存されています。ヒトの場合,約30億の塩基がつらなっています。新聞の文字数でいうと,およそ50年分。それだけの膨大な情報がひとつひとつの細胞に入っているのです。

 ヒトでは,遺伝情報はどんなヒトとも0.1%の差異しかありません。つまり,私とキムタクとでは99.9%同じということです(笑)。ルックスをとっても歌唱力にしても,圧倒的な違いがありますが,本当に私とキムタクは99.9%同じなのです(しつこい?)。

 では,私とキムタクの差はどこからくるのでしょうか? じつは,0.1%といっても,30億の塩基の並びのうちでは300万箇所もの違いがあるのです。このDNA中の300万箇所の違いが,肌の色や血液型の違い,耳垢が湿っていたり乾燥していたりの違いを生むのです。このようなDNA上の一塩基だけの違いを一塩基多型(SNP)といい,これが各人の個性を決定しています。

SPP 008.JPG 今回は,そんなSNPのうち,お酒の感受性に関する遺伝子,スプリント型なのか持久型なのかを決定する筋肉に関する遺伝子,ノロウイルスの罹りやすさを決める遺伝子について,各自の遺伝的個性を探ります。
 
 生徒達は大学の先生や大学生の指示のもと,自身の口腔上皮細胞(頬の内側の細胞)のDNAを取り出し,PCR(DNAを増やす技術)により調べたい遺伝子領域を増幅させ,増幅させたDNA断片の制限酵素の感受性の違いを利用して,その電気泳動パターンから遺伝子解析をおこないました。

 生徒はふだん使い慣れていない機器を使用したり,大学の先生の授業を受けることで,大学のようすを垣間見ることができたようです。また,大学内の設備も見学させていただき,将来,自分が研究するようすを思い浮かべることができたのではないでしょうか。

SPP 014.JPG さて,遺伝子解析の結果に生徒は驚きを隠せないようでした。いかにも瞬発力のありそうなサッカー部の生徒が「おれ,持久型なんだ。意外!」や,カキを食べて食中毒にあったことのある生徒が「ノロウイルスにかかりにくいなんて本当かな?」など,自身の遺伝子のタイプと自分で想像していた表現型とのズレに困惑していたようでした。アルコールの強さに関しては,「やっぱり」と,一瞬どこかで聞こえたような気がしましたが,ご両親を見ての「やっぱり」なのでしょう・・・。お酒は20歳から。今回の遺伝子解析の結果をもとに,将来のお酒の飲み方は注意しましょう。

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