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【夏の社会科見学】「裁判制度と裁判の傍聴」を実施しました

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恒例の社会科見学が夏休みに実施されました。

 テーマは今話題の「裁判員裁判」です。通例とおり7月の講習期間中に3日間の講習を実施し、8月に裁判の傍聴を行いました。傍聴した裁判は裁判員裁判ではありませんでしたが、生徒たちは「3日間の事前学習」の効果もあり、単なる物見遊山ではなく、各自の視点から裁判を傍聴できたと思います。


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★裁判の傍聴を終えて思うこと 高校2年E組 I・T

 窃盗・暴行・覚せい剤所持。毎日のニュースでよく耳にする犯罪を行ったとされる人達を、初めて生で見た。柵の向こう側で、手錠をはめられ、腰に縄を回された状態でイスに座っていた。眼力に異様な圧迫感を感じる者、目に生気が宿っていない者、目がもうすでに死んでいる者。種類は違えど、その被告人達は自分の目には怖い人として映っていた。
 日々様々な裁判が行われている、そのほんの一部分を今回傍聴したが、素直に来といて良かった、と思った。裁判所には半日しかいられなかったが、それでもあの短い時間で自分の世界が広がった気がする。
 特に印象に残ったのは、裁判官の態度である。自分は、裁判官は厳格で常に冷静な近寄り難い人である、と前から思っていた。テレビに映る裁判官を見て、さらにそのイメージは強くなっていた。しかし、今回法廷で自分が目にしたのは『あのね、これは○○なんだけどね』と、とても丁寧に被告人に対応している裁判官の姿だった。自分のそれまでのイメージは崩れ、裁判官達は本当は人柄が良いのかもしれない、と思うようになった。裁判官に対する偏見が無くなったことを、大変嬉しく思っている。
 偏見がなくなったと言えば、もう一つ発見した事がある。それは、被告人を弁護したくない弁護士もいる、ということである。その被告人は、暴力事件で起訴されていた。事件を起こすまで、人から金を借りて生活し、その大半をタバコ・ビールに費やしていた被告人に対して、
 「まぁあなたは今まで世の中のクズみたいな生き方をしてきた訳だけど、ちゃんと反省してる?更生できるの?」
と、自分の本来の仕事を忘れているような発言をしている弁護士の姿が、そこにあった。裁判が終った後、偶然その弁護士と同じエレベーターに乗る事ができた。
 「どうしようもないね、まったく・・・。」参考人として法廷に出た被告人の恋人と後輩に、弁護士は苦笑いを浮かべながら言っていた。
 ニュースで報道される事件の弁護士の発言しか聞いた事がなかったから、(なんでわざわざ悪い事した人を守らないといけないんだろう?)と思っていたが、そういう人達もあの弁護士のような思いをしているのかもしれない、と考え直すようになった。何となく今までの自分が恥ずかしい。
 これからは日々の裁判に関するニュースを、色々と考えながら受け入れることになるだろう。それは、自分が裁判員に選ばれた時に役に立つと思っている。そう、自分が裁判員になる日も、そう遠くはないのだ。その日のために、物事を別の角度から見る習慣をつけておこう。


★裁判を傍聴して 中学3年A組 B・T

 この講習は裁判員制度のことと裁判が見たくて受講しました。いざ法廷に入ってみると空気が張りつめていて、自分も緊張しました。
 法廷内はドラマに出てくるのと同じで、右に弁護士、被告人、左に検察官、そして中央に裁判官でした。
 今回の裁判は被告が覚せい剤に2度目となる手をそめてしまったことについてです。裁判の内容もほとんどドラマと同じでした。しかし、なにより驚いたのは検察官だけでなく弁護士と裁判官までが被告人に対して厳しい質問をしていたことです。被告人は始めから終わりまで下を見ていましたが、何を思っているのだろうかと思いました。そして裁判官の言葉を集めた本があるそうなので買って読みたいなと思いました。
 そして裁判といえば裁判員制度ですが、対象になるのは殺人事件等なので覚せい剤などの裁判はないそうです。
 この見学で僕は前から思っていた裁判官をやってみたいという気持ちがより強くなりました。もちろん自分が裁けるのかという不安もありますが、それを上まわるのが裁判への興味です。
 この見学で見たこと、聞いたこと、感じたことはこの先忘れないでまた機会があれば、裁判を見て、大人になったときに裁判員に選ばれてもいいように準備したいです。


★裁判を傍聴して 中学3年B組 K・H

 僕は、7月25日から28日の3日間かけて裁判員制度について学習しました。それは、8月24日にある裁判を傍聴するという校外見学があったからです。
その学習では、裁判員制度がどういうもので、どのような目的でやっているかや、裁判の歴史について学びました。
 そして、8月24日になり、霞ヶ関駅のすぐ近くの高等裁判所に行き、裁判を傍聴することになり、裁判所に入りました。裁判所と言ってもビルのような感じで入口には荷物チェックのゲートがあり、警備員もいました。
 エレベーターで5階まで上がり、僕たちの裁判を傍聴する部屋に入り座って待っていたらドアから手錠を掛けられた男性が入ってきて裁判が始まりました。この男性は、覚醒剤取締り法違反で起訴されました。まず最初に検事がいつ、どこでこの男性が覚醒剤を使ったのか、どのようなルートで手に入れたのかを説明し、次に弁護士がこの男性がこういうことをしてしまったが今はどれだけ反省しているのかを言いました。そして、証人であるその男性の妻が出てきて、捕まる前の男性の状態を説明していて、その時検事がなんで厳しく注意しなかったんだと証人に怒っていました。裁判の最後に裁判官が被告人にあなたはさまざまな人に迷惑をかけてしまったなどのことを言って裁判は終りました。
 次に7階にある部屋で裁判所で働いている人に裁判員制度はどのような人が対象でどのようなことをするかをモニターや言葉で説明していただいて、実際に法廷の中に入り、本当に被告人や検事などが座る椅子に座らせていただいたりしました。そして、最後に質問する時間があり、何人かの人が今話題の事件は裁判員制度が適用されるのかなどのことを質問して校外見学は終りました。


★裁判所について 中学3年D組 I・K

 8月24日、覚せい剤を持っていて、覚せい剤所持法違反の疑いで逮捕された中年の人の裁判を見に行きました。その裁判を傍聴して初めて被告人が検察や裁判官の質問に答えなくてもいいことを知りました。裁判が始まってまず被告人の出身地から事件まで詳しく話していました。特に事件の現場、「○○の××店のトイレ」までものすごく詳しく話していました。その被告人はいろいろな覚せい剤を持っていたようで、しかも量も1.7gと、かなり持っていました。しかもその人は覚せい剤を使うのが2回目で、週3回使っていたと言っていました。被告人は「覚せい剤は週3回とコントロールできていた」とかいう、全く反省していないような、頭がくるっているようなことを言い始めました。そんなことを話したり、覚せい剤で逮捕されたのも2回目なのに、検察官の求めた求刑は、たった2年だけでした。僕はこれを聞いて、「逮捕されたのが2回目でも、全く反省していないようなことを言っても、1.7gの覚せい剤を持っていても、求刑はたった2年だけなんだ」と思いました。僕は2年6ヶ月位求刑してもいいのではないかと思いました。
 感想、私はこの裁判を見て、検察の仕事は大変だなぁと思いました。あと、被告人の言った言葉によってほとんど刑の重さは変わらないんだと思いました。この裁判はすごかったです。これを見て、「わいせつの裁判が人気ある」ということがなんとなく分かりました。


===これまでに実施された社会科見学(過去2年分)===

■2009/04/24 【春の社会科見学】「上野公園と東大本郷キャンパス見学」を実施しました
■2009/02/24 【冬の社会科見学】「武蔵国の国府"府中市"を知る」を実施しました
■2008/09/04 【夏の社会科見学】「内陸の食品工業と自動車工業」を実施しました
■2008/04/07 【春の社会科見学】「都電荒川線沿線を学ぶ」を実施しました
■2008/01/15 【冬の社会科見学】日本新聞博物館と横浜(中華街)の歴史散策
■2007/09/01 【夏の社会科見学】国立ハンセン病資料館を見学しました 


===各見学会の詳細は以下をご覧ください。===
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