明法ニュース 校長・教頭

ピンチはチャンス③ ~EdTechの教室は、世界~

校長・教頭

ピンチはチャンス③ ~EdTechの教室は、世界~

 “Are Japanese people worried about the educational gap in Japan?” ー

これは、5月20日に行われた「21世紀(高2選択科目)」の特別授業(使用言語は英語と日本語)で、オーストラリア・メルボルンにあるMount Waverley高校の生徒が本校の生徒たちに投げかけた質問の1つだ。国際交流とはいえ、両校ともに緊急事態宣言下の臨時休校中であるから、参加した生徒15名(希望者)は、それぞれ自宅からGoogle Meet(テレビ会議アプリ)を利用して授業に参加した。

「コロナ禍において、海外の高校生は今何を考えているのか ~自宅から、世界と繋がる大チャンス!~」と題して、日豪の高校生が現在置かれているそれぞれの状況や心境を共有することができた。

 EdTechという言葉が、昨今国内で急速に人口に膾炙し始めている。教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、2010年代初頭のアメリカを起源とするが、現在では教育イノベーションの起爆剤として、世界各国で開発と普及が進んでいる。本校でも、このEdTechの代表格であるGoogle for Educationを5月の連休明けから全学的に活用しているが(導入は2018年度)、なんと言ってもその強みは「世界が教室になる」なることだ。英語というツールを用いれば、生徒たちの学習リソースは教室内から一気に世界最高峰の知まで達することが可能となり、学びの地平線が広がる。

 一方、コロナ休校に端を発したEdTechの隆盛は、今後日本の教育界に地殻変動をもたらすことになるだろう。3ヶ月に及ぶ臨時休校期間中、オンライン学習がすっかり定着した生徒たちは、学校再開後の教室授業に何を求めるのか。もちろん、学校は塾・予備校とは異なり、知識の習得のみならず、「人格の完成」を教育目的の第一義に据えている。課外活動を含めた教育活動全般を通じて、従来通りその目的の遂行に努めることは自明の理であろう。同時に、これからの学校教育の再定義・再構築といった「未来創造型の学校運営」が求められていることも心に銘記しなければならない。

 オンラインによる日豪国際交流授業後のアンケートに、以下の記述を残してくれた明法生がいる。彼女は、オーストラリアの生徒が画面越しにもかかわらず、果敢に日本語を使って意思表示をする姿に大いに刺激を受け、新たな学びを得たのだろう。

 I realized that most of the students in Australia tried to speak much harder than Japanese students. They sometimes made mistakes, but they weren't afraid of them. On the other hand, I couldn’t speak English without being afraid during the meeting, so I want to be as confident as Australian students.

 来月から、私自身もインターネットを介してHBS(Harvard Buisiness School)教授陣の門を叩く。共に学ぶ学友は、世界の最前線で奮闘するスクールリーダーたち。EdTech時代は、新型コロナを追い風に、我々教師にとっても「世界が教室」になるのかもしれない。

                                          教頭:鎌倉

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