明法ニュース 校長ブログ

【明法散歩道】2012年度 第7号

校長ブログ

 "小さな千人の力"


 さる5月、NHKのBSプレミアム「千人の力」の番組制作ディレクターから電話をいただいた。本校の男子シンクロの取材、出演依頼である。これまで明法では、マスコミ関係の取材や校舎提供等については、生徒の教育上、有益なもののみ受け入れ、その他はお断りしてきた経緯がある。今回は、番組の趣旨に賛同し、お話を伺うことにした。
「千人の力」は、昨年の3・11を契機に、昔行われていた番組が復活したもの。"千人"という多くの人の力を得て、人と人がひとつの大きな"感動"を作り上げ、それを全国に、そして被災地にも発信しようという趣旨であった。その内容は大きな意味を持ち、受け止めるに値するものと判断した。しかしながら、明法では、全校生徒を集めても千人には到底及ばない。番組の期待に応えられるのか。被災地に発信する感動を、いい加減ではなく、しっかり創ることができるのか。しばし、生徒間、教職員間で検討が続いた。
そうこうしているうち、NHK側から新たな提案があった。"絆"の取材である。それは、男子シンクロを先輩から後輩へ受け継いでいく中に、"明法の絆"を取材したいというもの。シンクロは、一頃、映画"ウォーターボーイズ"で全国的にはやりだし、多くの学校が取り組んでいたが、今や下火になりつつあり、しっかり取り組んでいる学校は少なくなっているという。そういう状況の中、明法では先輩から後輩へ、連綿とその取り組みと"スピリッツ"が受け継がれていた。
その"絆"に焦点を当て、"小さな千人の力"として紹介したいというのである。


"絆"
 明法では、部活動としての男子シンクロ部は存在しない。あくまで、明法祭(文化祭)の出演サークル(海坊主)として水泳部が母体となり、取り組んでいるのである。したがって、夏の本番での競泳練習、夏季講習等の合間を縫い、9月の明法祭へ向け、必死に海坊主たちの練習が続く。水中スピーカーもなく、少人数のなかでの練習は大変なものがある。先輩、OBが駆けつけ、一緒の練習が始まった(後日、同窓会長から水中スピーカーを寄贈していただきました)。

シンクロV2.JPGシンクロV1.JPG そして、8月31日(金)の午前11時、夏休みの練習の集大成として、海坊主(男子シンクロ)の演舞が始まった。2ヶ月間にわたる格闘の末、先輩、後輩の"絆"が見事に表現されたのである。
部長の今泉君(高2)曰く、「最初はだめだと思った。でも、先輩たちの励ましと協力、シンクロを成功させたいというみんなの気持ちがあった。苦しい中、最後は形にすることができ、すごく嬉しい。この絆を明法祭で示したい!」
 日に焼けた海坊主たちの笑顔がまぶしい。そこには、2ヶ月前の不安は、あとかたもなく消えていた。唯一残っていたのは、先輩から後輩へつなぐ明法生の確かなる"絆"であった。


※NHKBSプレミアム(BS第1ではありません)「千人の力」は、9月29日(土)夜、9時~10時半の間で放送される予定で、その中の約10分程度、明法の男子シンクロが取り上げられます。
(文責:教頭 早乙女)