明法ニュース 学校生活

【行事】第50回卒業式が挙行されました

学校生活

第50回卒業式.JPG50期卒業生.JPG卒業を祝う会.JPG3月5日(土)、本校の第50回卒業証書授与式が行われました。春のような暖かさの中で、50期生114名が無事に本校を巣立っていきました。午前中の卒業証書授与式に続き、卒業を祝う会が行われ、和やかな雰囲気の中で、卒業生から担任や保護者に感謝の言葉が伝えられました。

担任団の1人が挨拶の中で、「受験生向けの説明会などで『明法の宝は生徒です』とよく説明してきましたが、こうして卒業していく50期の皆さんと担任として長くつきあってきて、それを確信しました」という言葉がありました。明法のよさが凝縮された挨拶でした。

さて、卒業証書授与式での校長の式辞をご紹介します(一部を省略しています)。

「今年も別れと旅たちの春が訪れました。門出を祝うように、欅の枝は青空に広がり、紅梅白梅は満開で、甘い香りを漂わせています。

卒業生の諸君、卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。

 今回の卒業生は、五十期と言う節目の卒業生です。一昨年の創立五十周年式典のときは高校二年生でした。五十周年誌では、前期、後期の二人の生徒会長は「仲間意識、団結と繋がり」について述べており、伝統を受け継ぐ心意気を大変頼もしく感じました。

 五十期生の特徴は、学年のまとまりが良く、いわゆる「ノリが良く」学校を活気づけたことです。昨年の鑑賞教室「津軽三味線とゴスペル」では、出演者もノラせてしまいました。公演の代表の方は「男子校なので、演奏が受けるか心配だったが、ものすごく受けて大変嬉しかった。こちらもノッて時間をオーバーしてしまい、迷惑をかけた」と感動を述べておられました。五十周年式典の時も、来賓に「男子校のノリは素晴らしい」と言わせるほどのものでした。担任団の先生もノリは素晴らしかったです。明法祭では、ある担任の先生は大きな蝶ネクタイをしめて、先生の演芸会に参加、イベントを盛り上げました。生徒と共に楽しむことも心の通った指導の一つだったと思います。

 中学一年からの六年間を振り返ってみたいと思います。

 中一のオリエンテーション合宿は長野県車山、かわいい顔がアルバムにあります。そして、年が明けて二〇一一年三月十一日、東日本大震災が起きました。学年末試験の最終日、学科の試験が終わっての午後、数学検定の試験中に大きな揺れに遭ったのです。交通機関の回復が遅れ、生徒約七十人が学校に泊まりました。五十期生が、学校で大震災を体験した最後の学年です。保護者の方の暖かいおにぎりなどの差し入れで、腹を空かさずに過ごすことが出来ました。改めてお礼を申し上げます。未曾有の津波の被害と原発の事故、その後には計画停電、部活合宿の制限、学校行事の変更がありました。放射能測定器による校舎、校庭の安全チェックも行いました。被災地の復興は進んでいますが、かえって一層苦しい状況の方もおられます。これからも息長く寄り添う必要があると思います。

 中学二年の夏休みには、教科の宿題の他に担任団の道徳の宿題として「ミッション」がありました。中一からの続きで「チャーハンを作れ(〇先生が食べたがっている)」と言うようなもの。廊下を飾った生徒の報告書には、料理の写真とレシピ、生徒と保護者の感想が載っていました。反抗期の中学生と保護者、料理を作っているときの会話は、実際はどんなものだったのでしょうか。「中三ではミッションは無いですよね」とは保護者の言葉。しかし、中三でもミッションはありました。

 中学三年の明法祭でのオーケストラ、十年に一度の元気とやる気と技量といわれ、ベートーベンの「運命」に挑戦。手に汗を握る緊張の演奏が終わると、目に涙を浮かべた担任団を見ることが出来ました。素敵な演奏と感動的な場面の両方が、保護者の方に、拍手と共にプレゼントされました。

 高校一年では、高入生十九名が入学、中入生は新しい友達が嬉しくて、教室に大勢出かけて、声をかけていました。約百名の中入生に比べると十九名とは少数ですが、元気は中入生に負けず、スポーツ好きで団結心に優れていました。十九名の諸君のお陰で、ますます活気は増し学年はまとまったと思います。

 高校二年での修学旅行は天候に恵まれて行程は順調、伊江島民泊もできました。しかし、腹を壊した生徒が出てしまいました。那覇市のある場所で生ものを食べたからではないか、と言うことになり、そこでの生ものの食事は以後禁止になったようです。全体行動と病院送迎との兼ね合い、早朝の看病、思わぬ苦労も今は良き思い出となりました

 高校三年の体育祭の騎馬戦では、大将同士の一騎打ちがありました。裸の肉体と気迫の勝負が展開され、大いに盛り上がりました。逞しく育った男の姿と迫力を保護者の方と見ることの出来た素敵な時間でした。競技の後の全員で行うコミカルな「礼を尽くす」という一斉行動には、闘いの後のさわやかさがありました。

五十期生の有志が集まり、アメリカンフットボール同好会を設立しました。明法単独チームではなく、合同チームとなりましたが、勝利を得たことは部員の誇りになっていることでしょう。そのほかの部活動・同好会活動でも、多くの成果を挙げることができました。それは一回戦の突破であったり、都大会、全国大会への出場であったりしますが、そこで流した汗と涙は、本物の輝く青春の思い出です。頑張った自信は将来の糧になることでしょう。また、苦しみも楽しみも一緒に過ごした友人は、かけがえのない一生の宝、大切にしてください。

 さて、昨年十二月二日、野村総合研究所は、ショッキングなレポートを発表しました。「日本の労働人口の四十九%が人工知能やロボット等で代替可能に」。こういう事態が訪れるのは、十~二十年後、卒業生が二八歳~三八歳、仕事に慣れた頃です。生き残る職種は、創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業種で、将来においても人が担うものです。

 また、グローバル化は産業界だけで無く、すべての分野で進むことでしょう。

 このような時代、コンピューター、インターネットによって、加速度的に進歩し変化する時代にあって、人の生き方、幸せ感がますます問われるようになりました。「人としての幸せとは何か」この難しい問を考え、生きていくことになります。そこで、生き方が難しい時代だからこそ、五十周年記念ポストにある、明法創立者小谷喜美先生の言葉「世界の平和に貢献せよ」を心の底に置いて考え行動してください。そして、悩んだり疲れたりしたら明法の友だち、先生に相談してください。明法は第二の故郷、諸君の帰りを待っています。

 最期になりましたが、保護者の皆様にお祝いとお礼を申し上げます。

中学生高校生の時代は、成長の著しいまさに怒濤の思春期、様々なご苦労があったことでしょう。しかし、今ここに高校を卒業して社会に飛び立つ逞しいご子息がいます。卒業を心からお祝い申し上げます。そして、本校の発展のために常に暖かいご支援とご協力を賜りましたことに厚く厚くお礼を申し上げ、式辞といたします。」

平成28年3月5日  明法高等学校 校長 大谷泰造