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【教科】取材も受けました!-GE講座で心臓手術体験 

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今回は4時間連続の心臓外科手術の体験です。講師は前回1月25日の医学講座①に引き続き、本校の卒業生で心臓外科医である昭和大学横浜市北部病院循環器センター教授の南淵明宏先生です。

左心房から左心室に血液を流す弁(僧帽弁)に不具合が生じ、血液が左心室から左心房に逆流する病気「僧帽弁狭窄症」の患者に行う僧帽弁置換術の手術の実験を行います。血液が逆流しないように、不具合が生じている僧帽弁を人工弁に取り換える手術をします。実験では人間の心臓とほぼ同じ大きさとつくりである、豚の心臓を用います。実際に見てみると意外と大きいことがわかります。

実験に先立ち、南淵先生は「自分で体験し、経験すること。そこから学ぶことが最も大切。そして疑問や問いを持つこと。批判力を持つこと。」とおっしゃいました。今回の実験は心臓を解剖することが目的ではありません。南淵先生ご自身の心臓外科医としての経験を踏まえて、プロフェッショナルとはどういう意識で仕事に臨むのかを学び取ることです。

実験器具は本校のコンセプト「本物に触れる教育」にそって、すべて本物を使用します。手術に使用する器具は、すべて数万円~数十万円のものばかりです。このような器具に触れることができるのは、本来であれば医学部に入らなければ経験できないことです。

まずは心臓の観察です。南淵先生は「五感をすべて使うこと。そしてつねに『なぜ?』という意識を持ちながら観察すること。」というアドバイスがありました。生徒は今まで教科書で心臓の断面図でしか心臓を見たことがありません。生徒はいろいろ感想のなかには「臭い」というものもありました。南淵先生は「治療をする上で『におい』というものは大変重要である」と言います。最新の診察技術があっても、五感をフルに使って診察することがプロの医師の仕事であることがわかります。

そして今回人工弁に取り換える僧帽弁を観察してみます。弁のついている太い血管から水を入れてみると、確かに弁がふさがって水が入っていきません。さらによく観察すると、3つの弁がついており、非常に薄いことがわかります。

この弁を、手術器具を使って切除します。みんなうまくできています。南淵先生は「みんな手が震えていませんね。手が震えるのは心理的なものが大きく作用していて、自分の技術に自信がない医師は手が震えてしまいます。手の震えが来ないくらい練習するのです。そうなれば『steady hand(手術が上手な医師のこと)』と呼ばれるようになります。」と言って生徒たちをおほめになりました。

弁の切除が終わったら、つぎはサイジングです。弁のサイズを専用の器具で測ります。大きさを測るだけではないか、と思われますがサイジングは最も気をつかう部分だそうです。これを誤るとすべて一からやり直しとなってしまいます。

サイジングが終わると、いよいよ人工弁を取りつけます。この人工弁は炭素繊維でできており、耐久性は400年持つそうです。値段は本当の治療として用いられる人工弁は、日本円で約92万円だそうです。生徒が使うものは実験用ではありますが、治療用として用いられるものと素材や形状はまったく変わりません。専用の器具を使って縫合していきます。南淵先生は一人ひとりのようすを見ながら具体的なアドバイスをしていきます。うまくできる生徒もいましたが、縫合する順番を誤ってしまい糸が絡み合ってしまう生徒もいました。そのような生徒には先生が手助けをしてくださいます。絡み合った糸を丁寧に、しかも迅速に修復する手さばきはまさに「神の手を持つ男」にふさわしいことがわかりました。

みんな人工弁をつけることができました。試しに人工弁につながる太い血管から水を入れてみます。しっかり弁がはたらいて、水が入らない生徒もいましたが、縫合が甘く弁の周りから心臓に水が入ってしまう生徒もいました。

最後に南淵先生は「今回のGE講座が将来の君たちに種をまくことになれば明法の先輩として大変うれしい。そして今、普通に生きていられること自体がありがたいこと。普通にいられることは奇跡なんだということをわかってもらいたい」とおっしゃいました。今回の医学講座(全2回)を通じて「『プロの仕事』とはどういうことなのか」「『生きる』とはどういうことなのか」を考えるきっかけになることを期待します。

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今回の心臓手術体験には読売新聞・毎日新聞・朝日新聞の記者の方も取材に来てくださいました。

読売新聞・毎日新聞では2月17日(金)朝刊の多摩版に記事が掲載されています。また、朝日新聞は2月18日(土)に記事が掲載される予定です。

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