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【東邦大学とコラボ】ミトコンドリアDNAから自身の母系祖先を探る

教科指導
 7月15日~16日の2日間で,科学技術振興機構によるサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)の支援のもと,東邦大学理学部と高大連携講座を実施いたしました。この取り組みは,生徒の科学に対する興味・関心と知的探求心等を育成することを目的として,高等学校と大学との連携により,科学に関する観察,実験等の体験的かつ問題解決的な学習活動をおこなうものです。

 今回は,ミトコンドリアDNAを用いた遺伝子解析をおこないました。地球上の生物は,すべて細胞からできており,その細胞にはDNAが含まれています。動物の場合,DNAは核とミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官に存在します。DNAに書かれている情報は個人個人で異なります。たとえば,血液型が異なるのも,お酒が飲めるか飲めないかという性質もすべて遺伝子の違いがもたらすのです。

 ミトコンドリアDNAは必ず母親から受け継ぐ(母系遺伝)ものなので,自身のミトコンドリアDNAを調べることで母系先祖をたどることができます。今回調べたミトコンドリアDNAの一領域は,大きく2種類のパターンが知られており,その違いにより母系祖先が縄文人なのか弥生人なのかが分かります。
 
 生徒達は大学の先生や大学生の指示のもと,自身の口腔上皮細胞のDNAを取り出し,PCRにより自身のミトコンドリアDNAの一領域を増幅させ,増幅させたDNA断片の制限酵素の感受性の違いを利用して,その電気泳動パターンから遺伝子解析をおこないました。

 生徒はふだん使い慣れない機器を用いたり,大学の先生の授業を受けることで,大学でおこなっている研究を垣間見ることができたとようです。また,自身の祖先に想いを馳せ不思議な感情を抱いたようです。

 今回の実験で,ミトコンドリアDNAの遺伝子解析により自らのルーツを探ることは,生物としてのヒトの本質を理解するにとどまらず,地球レベルで繰り広げられてきた人類の進化に目を向け,生命の連続性を実感させるこのうえない有益な機会であったと感じます。